■あの日見た桜 第3幕〜約束・桜の木の下で〜
−桜の花びらに気付き、上を見上げる大姫。夜桜が浮かび上がる−
大姫 あっ・・・・・桜、きれい・・・・!!
義高 何だよお前。夜桜見たことないのか?お前んちの庭だろ?
大姫 だって、夜にお外に出たことなかったもん。
義高 へぇ。もったいないよな。
大姫 どうして?
義高 だってさ、昼の桜も綺麗だけど、夜桜だってこんなに綺麗なんだぜ?そんなことも知らずに生きてちゃ、もったいないだろ?
大姫 うん。
義高 俺さ、桜が大好きなんだ。
重成 「桜は、武士道の手本なり」、ですか?
大姫 なぁに、それ。
義高 父上の言葉なんだ。「桜は何よりも美しく、鮮やかに、精一杯花を咲かす。散りゆく姿さえも潔いものなり」・・・・・・俺が木曽を出る時言われたよ。「木曽の男なら、桜のように生きよ」ってさ。
大姫 義高様・・・?
義高 なあ、姫。さっき、ガキだのチビだの言って悪かったな。俺、素直でさ・・・
重成 ほーーーんと。素直すぎて、言い訳になっていませんね。
義高 んっ!(咳払い)俺、お前くらいの女の子としゃべったことなくてさ、何て言っていいのか分からなかったんだ。
大姫 いいよ!許してあげる。だって姫、大人だもん!
義高 いや、それはない。 うなずく重成
大姫 む。やっぱり許してやんない!
義高 いいよ!もうお前とは口きいてやんないから。行くぞ、重成。
重成 はい。若。
大姫 あーん、やっぱり許すー!・・・そうだ!姫、お友達になってあげる!!
義高 お友達ぃー?
大姫 うん!だって、義高様は姫の「おむこさん」なんでしょ?だったら姫、お友達!
義高 バカだなー。それなら「お友達」じゃなくて「およめさん」だろ?
大姫 およめさん・・・?じゃあ、およめさん!!
重成 良かったですねぇ、若!重成はうれしゅうございます。
大姫 重成も、およめさんになる?
重成 いいですねぇー!
義高 止めろよ!!・・・・・・・・俺たちは、遠くへいってしまうかもしれないんだぞ・・・・
大姫 義高様・・・どこかに行ってしまうの?
義高 もしものことだよ。
大姫 そんなのやだ!どうしてそんな悲しいお話するの?今日会ったばかりなのに!
重成 姫様・・・
大姫 お母様がおっしゃってたわ。「おむこさん」っていうのは、ずっとそばにいて、助け合って生きていく人のことだって。義高様は姫の「おむこさん」でしょう?だったら、ずーーーっと姫のそばにいるんだから!
重成 おませなお子様ですね(苦笑)
大姫 だから約束して。どこにも行かないって。姫は、義高様や重成とずーーーっと一緒がいいの!!
義高 姫・・・・・わかった。約束するよ。
大姫 本当!?
義高 うん。ほら。
−小指を出す義高。ぽかんとする大姫−
義高 指きりしようぜ。
大姫 指きり?
−戸惑いながら、義高の小指を握り締める大姫−
義高 ・・・・・ま、いっか。
指きり拳万、嘘ついたら針千本のーます!指きった!!
大姫 指切れた!!??
義高 切れるか!バカ! 姫の頭に突っ込み
大姫 いたーい!
義高 ははは。ごめんごめん。 やっと笑顔
重成 ひゅーひゅー!お熱いですねぇ!子供のくせに。
義高 ばっ、そんなんじゃねえっ!!
大姫 そうだよぉ!
重成 さぁて、どぉだか 重成、すたすたと歩き出す
義高 何だよ、重成!待てよ!! 追いかける義高
大姫 やーーん!待って!どこにも行かないって約束したのにーー!! 三人とも退場
ライトF.O.
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