■あの日見た桜 第2幕〜出会い〜 | ||
−上座に頼朝、政子、大姫。下座に義高、重成が座る− | ライトF.I | |
義高 | 義高に御座います。以後、宜しくお願いいたします。 | |
頼朝 | 急に呼び出してすまなかったな。これが我が娘・大姫だ。まだ、何も分からぬ幼子だが、末永くよろしく頼むぞ。 | |
義高 | はっ。 | |
政子 | 大姫、義高どのにご挨拶なさい。 | |
大姫 | 大姫です。ようこそおこし下しました。 | |
義高 | 大姫、仲良くしてくださいね。 | |
大姫 | はい! | |
義高 | 申し遅れましたが、ここに居りますのは私の乳兄弟・堀江重成でございます。 | |
重成 | 重成でございます。宜しくお願いいたします。 | |
頼朝 | そなたには、義高殿と姫を守る大切な役をしてもらう。こころして勤めよ。 | |
重成 | はっ。姫君と若は命に代えましてもお守りいたします。 | |
頼朝 | よく言った。義高殿、これからはわしらを実の親と思い、なんでも相談して下され。 | |
義高 | はっ、有難う御座います。 | |
頼朝 | では政子、参ろうか。 | |
政子 | はい。義高殿、姫をよろしく頼みます。 | 二人退場 |
義高 | ・・・・・・・・・・・・重成、行ったか? | 大姫、自分の打掛で遊びだす。打掛を頭からかぶり、もがいている。 |
重成 | はい、行かれたようです。 | |
義高 | うあー、疲れたーーーっ!! | |
重成 | ほーーーーんと。肩が凝りますよねぇ。若はもう、お年ですから。 | |
義高 | バカやろー!お前の方が年上だろ! | |
重成 | いやですねー、すぐムキになって。これだからお子様は。 ・・・それより、優しそうな方達で良かったですね。 |
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義高 | ・・・・今のうちだけさ。俺は人質なんだ。父上が裏切れば、俺は殺される。重成、お前も覚悟しとけよ。いつ、どんな目に合わされるか、わかったもんじゃないんだから。 | |
重成 | 若!そんなこと、姫様の前で言ってはなりません! | |
義高 | 構うもんか。どうせこいつは何も分かっちゃいないさ。 | |
重成 | しかし・・・ | |
義高 | それより・・・・・・・・・・・・何やってんだ?こいつ。 | 姫を見る義高 |
重成 | さあ・・・もがいてますね。 | |
義高 | もがいてる、よなぁ? | |
大姫 | うわーん!助けてー。閉じ込められたぁー! | |
重成 | それは大変ですね!どーーーうしましょう、若? | |
義高 | 分かったよ!助けりゃいいんだろ?助けりゃ。ほらよっ! | 打掛をめくってやる。 |
大姫 | ぷはーーっ、脱出! | |
義高 | 何が脱出だよ! | |
大姫 | ねぇねぇ、姫ね、今すっごい発見したの! | |
義高 | はっけーん? | 義高、嫌そう |
大姫 | あのね、こーやって見るとね、ぜーーんぶ桜の色なの! | |
義高 | はいはい。分かった分かった。 | |
大姫 | 本当だよ?義高様も、見る? | |
義高 | いや、いい。 | 義高、冷たい |
大姫 | 綺麗なのに・・・・ | |
義高 | ・・・・ぁあー、もうっ!重成、お前が見てやれ! | |
重成 | はい!姫様、私にも見せて下さい。 | |
大姫 | うん!ほらね? | |
重成 | うわー。綺麗ですねぇ。 | |
大姫 | ですねぇ〜 | |
義高 | ったく、なんなんだよ、このチビ。 | |
大姫 | チビじゃないもん!! | 立ち上がって、背伸び |
義高 | チビはチビだろ?じゃあ、ガキか。 | |
大姫 | ガキじゃないもーん! | |
重成 | そうですよねぇ。年下の女の子の相手も出来ないなんて、若の脳みその方がよーーーっぽどガキですよね。 | |
義高 | 何ぃ!? | |
大姫 | やーい、ガキガキー! | |
義高 | なんだとーー! | 追いかける |
大姫 | やーん! | 逃げる大姫 |
−二人、ばたばたと庭に出る。ゆっくり後を追う重成。大姫が桜の木の近くまで来たところで、重成、声をかける− | 三人とも庭へ | |
重成 | (手を叩きながら)はいはい!ふう、大人なのは、私だけですね | 固まる姫&義高 |
−桜が舞いはじめる− | 上から紙ふぶき | |
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