■暖かい夢の物語  4       
−幕前に王様登場。彼らが演技している間に幕の後ろではベット(ベットに見えればよい)に横たわる村人達と、看病する奥さんが待機。中央のベットだけ空いている− ライトON
役人1 タイヘンです!国王さま!!(2人一緒に走って出てくる) 出来る限り大げさで、テンポ良く。コミカルに盛り上げて、最後にドスンと落とすつもりで。
王様 いったいどうしたというのだ。そのように慌てて。
役人1 国中で奇妙な病気が流行っているのです!
王様 何だと!?どのような病気だ、申せ!
役人1 はっ。それがすごいのであります!
役人2 全身に黒い斑点ができて、お日様に当たると・・・おおお!(倒れる)
王様 ええい、どうなるのだ!
役人1 皮膚が焼けるように熱く、ヒリヒリと痛むのであります!
役人2 そして高熱と耐えられないような苦しみで、転げまわって死ぬのであります!おおお!(転がる)
役人1 そんな恐ろしい病気が、今この国のあちこちで流行っているのであります!
王様 それは一大事ではないか!そんなものがもし都までやってきたら・・・・・・ええい、やってきたらどうなるのだ、申せ!
役人1 はっ!この国の人間は皆死ぬであります!
役人2 王様も死ぬであります!
王様 ふむ。何!?わしも死ぬのか!?
役人1&2 死ぬであります!!
王様 ええい!それはならぬ!断じてならぬ!!(歩き回りながら)・・・・・何とかならぬか、何とかならぬか、何とかならぬか!(ピタッと止まって)・・・・・おお、そうじゃ。(役人達を振り返って)殺せばよい。病気のものは皆・・・いいや・・・病人が出た村は、村ごと焼き払ってしまえ!
役人1 しかし王様、それはあまりにひどいであります!
王様 だまれだまれ!お前達は病気が怖くないのか!?
役人1 怖いであります!
王様 では殺せ!
役人2 殺すであります!!
王様 よし!よいか、お前達。猫一匹逃すでないぞ。草の根分けても探し出し、皆殺しにするのだ!行けい!!
役人1&2 ははーーーっ!!(一礼し、立ち去る役人達)
王様 (観客一人一人に言うつもりで)よいか、病人ども。ワシはこの国の王だ。お前らと違って、病気なんぞで死ぬわけにはいかんのだ!ふはは・・はははは燃やせ、燃やせ。病気など、燃やしてしまえ!ははははははーっ!!(王様笑いながら退場)
−ライトOFF。幕が上がる。ランプの光だけが燈っている。病人達の苦しそうなうめき声−
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