■夜鷹夜噺(よたかよばなし)  3       
惣之助 月殿。私と生きましょう。私があなたを守ります。あなた様の、生きる理由になりましょう。
ああ・・・・どれだけその言葉を夢見たことでしょう・・・
惣之助 夢では御座いませぬ。ここに金30両あります。月殿を身請けするために衣食を削って貯めた金です。そのおかげであのようなボロボロの格好をしていたのですが・・・。これだけあれば
・・・・無理で御座います
惣之助 30両では足りませぬか!?さすがは京一番の太夫・・・足りない分はまた働いて稼ぎます。幸い、私はこう見えてなかなか腕が立つのですよ。
(首を振って)そうではないのです。
惣之助 いくらあればいいのですか?50両?・・・まさか100両!?
そうではないのです!!・・・駄目・・・身請けが・・・身請けが決まっているのです・・・
惣之助 ・・・・・・・・・・・・・身請けが・・・すでに・・・?
(うなづいて)ほんの3日前のことで御座います。米問屋の旦那が、私を身請けしたいと・・・。私・・・誰でも良かった。ここから連れ出してくれるなら・・・
惣之助 そんな・・・・・・
惣之助様に会えると知っていたら、私は・・・私は・・・
惣之助 今からでは遅いのですか?正式に断りを入れては。
無理で御座います・・・その方は色々悪い噂のあるお方・・・今更逆らえば、私も、あなた様も命はありますまい・・・
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