■あの日見た桜 第1幕
−オープニング曲の後、政子のナレーションが入る−
音楽、F.O.
ナレーション
(政子)
平治の乱で源氏を破った平氏は、清盛を中心に一族の栄華を極めていました。「平氏にあらずんば人にあらず」とまで云われた平氏一門の世も、終わりに近づいている1183年。鎌倉の、源頼朝の屋敷から物語りは始まります。 政子にスポットライト
−座っている政子。頼朝登場− ライトON
政子 まあ、頼朝殿。お帰りなさいませ。木曽はいかがでした?
頼朝 ふむ。義仲め。平氏は俺が倒すと、意気込んでおったわ。困ったやつよの。
政子 あらあら。さすがは頼朝殿の従兄弟殿。元気がおありですわね。
頼朝 全くだ。調子に乗って、妙な気を起こさねばよいがな。
政子 頼朝殿・・・?
頼朝 ところで政子。突然だがな、義仲の子・義高を我が娘・大姫の婿にと思うのだが・・・
政子 まあ!義高殿を?・・・しかし・・・姫はまだ6歳。少々、早すぎるのではありませぬか?
頼朝 構わん。それに、義高をこの鎌倉に置いていれば、義仲とてわしに逆らおうなどと思いはせんだろう。
政子 !頼朝殿。それでは、義高殿は人質なのですね?
頼朝 ん?・・・・まあ、そうだな・・・・
政子 あなた!!あなたは、大切な大姫を人質と結婚させるとおっしゃるのですか?
頼朝 そうだ。だが、大姫の婿にという名目以外、どうやって義高を鎌倉に呼び寄せるというのだ?第一、義高とてまだ10歳。お互い、遊び友達としか思わんだろう。
政子 そうでしょうか・・・
頼朝 なあに、心配せんでもよい。それに義高は文武に秀でた、なかなかの切れ者ときく。もとより、大姫の婿にと考えておったのだ。義仲さえ、刀を向けなければ、わしは義高を実の子と思い、可愛がるつもりだ。人質としてではなくな。
政子 なら良いのですが・・・
−大姫登場− 大姫走り出る
大姫 お父様ぁーーー
政子 姫!屋敷の中では走ってはいけないと、いつも言っているでしょう?そこにお座りなさい。お父様にご挨拶もしないで・・・ 姫、座る
大姫 お父様。お帰りなさいませ。お勤めご苦労さまでした。
頼朝 おおお、よく出来たな。いい子だ。父様はお前の顔が見れんで寂しかったぞ。 頼朝、親ばか
大姫 姫も、寂しゅうございました。
頼朝 はっはっは。可愛いやつめ。
政子 頼朝殿。政子も、寂しゅうございましたv 政子、色仕掛け
頼朝 ・・・・・・・・・・おお、そうだ。姫。お前に婿が決まったぞ。 頼朝、無視
大姫 ・・・む・こ?むこってなあに?
政子 「お婿さん」というのはね、結婚する相手のことよ。ずーーっとそばにいて、助け合って生きていくの。
大姫 お母様のおむこさんはお父様?
政子 ええ、そうよv
大姫 姫のおむこさんは?
頼朝 木曽の、義仲の子・義高殿だ。お前より4つほど年上だが、とても優しく、素直な子だよ。
大姫 よしたか・・・?義高殿は、いついらっしゃるの?
頼朝 ん。明日、対面する予定だが。
政子 明日!?まあ、まだ何の用意もしておりませんのに。 あわてる政子
頼朝 よいよい。対面といっても、うちわだけの顔合わせのようなものだ。・・・それに、そのままでも政子も、姫も十分きれいだぞ。 家族サービス。
政子 まあvあなたったらv 政子、嬉しそう
頼朝 んっ!(咳払い)実はもう、鎌倉に来ているのだがな。
大姫 えっ?
頼朝 姫、義高殿に、早く会いたいか?
大姫 うん!!早く会いたい、今日会いたい!!
頼朝 なっ・・・そうか。では、今夜来てもらおうな。 頼朝、甘すぎ
大姫 うん!
ライトF.O.
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