■暖かい夢の物語  1       
−舞台向かって右側奥に老婆と孫娘・ミリカ。老婆は椅子に座り、ミリカは客席を向いて立っている。舞台左側にその他のキャストはスタンバイ。− 老婆と孫娘にスポットライト
老婆 ミリカ。何を見ているんだい?
ミリカ お城よ、おばあちゃん。今日はお月様が出てないから、暗くてよく見えないけど。
老婆 そうかい。残念だねえ。ミリカはお城が好きかい?
ミリカ ううん!嫌い。だって化け物が住んでるんだもん!
老婆 化け物・・・?
ミリカ そうよ。先生が言ってたの。山の上の古いお城には、怖い化け物が住んでて、月の無い日は町に下りてくるんだって!
老婆 ・・・ミリカは、化け物が怖いのかい?
ミリカ 当たり前じゃない!
老婆 そうねぇ。じゃあ、おばあちゃんが今から物語をしてあげよう。昔々に本当にあった、一匹の化け物の哀しくて、暖かい夢の物語を・・・・ ライトF.O.
−音楽F.I.「アメージンググレイス」のオルゴールなどがお勧め−
老婆 昔々、とある国の小さな村に、一匹の化け物が生まれました。
−”彼”にスポットライト。土の中から生まれた感じで、ゆっくりと立ち上がる。あとは皆、老婆の話に合わせながら演技していく−
老婆 彼は土の中から生まれたときから、立派な青年の姿をしていました。
鋭い牙があったけれど、それ以外は普通の人間と変わりません。
村人1 化け物が出たぞ!土から生まれた化け物だ!! ライトC.I.
村人2 鋭い牙がある!人間を食べるに違いない!!
村人3 こっちへ来るわ!
村人全員 逃げろ!!
−舞台中を逃げ惑う村人達−
老婆 初めのうちは皆彼を恐れました。
−彼の目の前で転ぶ少女。ぴたっと止まる村人達。息を呑んで彼と少女を見守る。しばらく見つめ合う彼と少女。ふと、彼が動く。ゆっくりと少女に手を差し伸べる− 静と動のメリハリをつけて。
(おずおずと)・・・大丈夫・・・?
少女 ・・・・・・・・(にっこり笑って)うん・・・・・!!
−少女、彼の手を取って立ち上がる。手をつないで横に並び、元気良く腕を前後に振り始める。つられて腕を振る彼。村人達は顔を見合わせ戸惑っているが、次第に手をつなぎだし、最後には全員で手をつないで動いている−
老婆 初めは彼を恐れていた村人達も、彼の優しさや素直さにふれ、すっかり仲良くなりました。
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